人間の尊厳と自立
問題1 1960年代後半からアメリカで展開した自立生活運動に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 障害者自身の選択による自己決定の尊重を主張している。
2 障害者の自立生活は、施設や病院で実現されるとしている。
3 「ゆりかごから墓場まで」の実現に向けた制度設計を目指している。
4 障害者が機能回復を図ることを「自立」としている。
5 介護者を生活の主体者として捉えている。
答え)1
(rumichaのmy解説)
1
「この子の幸せを一番に願っている」と言いながら、つい、わが子の選んだ会社とかカノジョ(カレシ)にケチつけちゃう人、いません? あと、英語ペラペラになって欲しいから会話塾に行かせているのに、ゲーム屋さんになりたい、とか言ってゲームばっかりしてる子を一日中怒っていたり、とか。
この問題のキモは「自身の選択による」ってトコロじゃないかと思うんです。
選択するためにはメリット・デメリットを含めた情報をいっぱい与える必要があるし、その情報を選べるように待つ必要もあるし、その前に、その人が理解できる形で情報を与えなくちゃいけないですよね。
簡単に「自己決定の尊重」って言うけど、実は答えを誘導していたり、せかしていたり、なんか分からないけど、んー・・・て思っているのに決めちゃったりしてないでしょうかね?
相手の意見を尊重する、って、もしかしたら自分の想像とはまったくかけ離れている返答でも、受け入れる、ってことなんじゃないでしょうか。
ワタシは何十年もかかって、やっと、それもアリなのかな、と思えてきたところです。
2
試験的に、答えはもちろん✖ですね。
ただ、上記の1を考えると、人それぞれじゃない、って思うわけです。要するに、施設で生活する方が自立している、って考えもないわけじゃない。施設や病院である役割をもって生き生き暮らしている場合もあるでしょ。アパートで可能な限り介助を受けながら社会的な活動に参加しましょう、それが自立なんですよ、というなら、介助を受ける費用とか、社会的活動に参加する道すじとか必要ですよね。今の社会はどうなのかな、安心して施設外で暮らせるように整っているのかな。。。
とにかく。
まずはその人がどうしたいか、どうありたいか、それを実現するためにはどこがいいのか等々、知ることから始めるのが定石。
3
「ゆりかごから墓場まで」は第二次大戦後のイギリスの福祉に関する合言葉です。アメリカじゃないのよ。スウェーデンだと思ってる人も多いですよね。実はワタシもそうでした。
社会保障制度に関する「ベバリッジ報告」(1942年)に雇用保険だ、救貧制度だ、云々と書かれていて、それをもとにイギリスの社会保障制度があれこれ制定されました。だから「ベバリッジ報告」=これは大事(笑)
4
機能回復っていうのは、つまり、脳梗塞で右片麻痺になった人が、元どおりになる、ってこと。身体に指令を与える脳が壊れちゃったんだから、手や足をリハビリして元に戻そうっていったってムリなんですよ、壊れた脳の方を治さないと。で、現在は脳を治すことはできないんですね。できるなら、今頃みんなが治っている(^^;)
ちょっと前までは、歩けなくなった人が自分の足で歩けるようになるとか、お風呂に一人で入れるようになったりすることが「自立」って言われていたーーというか、そういう風潮だったけど、今は違います。
「お風呂に一人で入りたいのに入れないのは、何が原因だろう」ということを考えて(これがICFの考え方)、どうしてもできないことを助けてもらいながらお風呂に入れるのが「自立」ってことになっています。
でも、染みついた考え方ってなかなか取っ払えないですね。いまだに一人で生活できなきゃ自立じゃない、って考える人、多いから。
あれ? ということは、小さい子でも、その年齢に応じて「自立している」と考えていいのかな?
5
生活の主体者は、もちろん「ワタシ」です。介護者じゃない。
介護者あっての生活だけど、ワタシの生活は、あなたが決めるものではない。
腐りかけたゴハンを捨てるか捨てないかは、ワタシが決めるのよ。無理やり捨てないでちょうだい。捨てる必要があるなら、あなたの狭い世界のつまらない知識だけひけらかさないで、ワタシを説得できるだけの情報をちょうだい。「傷んだものを食べるとお腹を壊す」のは知ってます。でもワタシは多少のことならお腹を壊さないのよ。ワタシのお腹のこととか、しかもそのゴハンが腐っているかどうか、どうしてあなたに分かるの?
ーーというのが、捨てましょう、と言うヘルパーに対して「そう?んー、でも、もうちょっと置いといて、自分で捨てるから。冷蔵庫に入れておいてちょうだいね」と答える利用者さんの心情ではないかな、と。いや、極端な話ですけど。
自分の説を押しつけていることを自覚していない介護職がいるのを見ますが、そういうときの利用者さんって、その場は分かった顔するんですよね。さすが年の功。それで介護職の方は、お互いに気持ちよく終わった気になって。でも承服できない利用者さんは、後で必ず不満そうな顔をしている。
ワタシも気をつけなくちゃ。